生チョコレート[山崎シェリーウッド]はクリスマスからバレンタインまでの限定商品として、毎年大変ご好評いただいています。
そのおいしさの秘密を探るべく、e-shop担当織田がサントリー山崎蒸溜所へ見学に行ってまいりました。
ご案内いただいたのは、品質担当の辻ジェネラルマネージャーでした。
そしていよいよ蒸溜所の中へ。
山崎の中でも特に貴重だといわれるシェリーウッド。仲沢さんはその一丁一丁の樽は、生き物と同じだと語ります。
その環境によって熟成の度合いが変るため理想の熟成をするようにサンプリングをしながら、樽の置く位置を変えるなどして管理していくのです。
考えただけで、気の遠くなりそうな作業を根気強く丁寧に続けていく姿勢に、とても感動しました。
今回の見学の冒頭に、「今日は時間の流れの奥深さを感じていただければと思います。」と、別な担当の方(とっても綺麗な方です)がお話されていた意味がわかるような気がしました。
上質なものを追求する物づくりの姿勢を、改めて教えていただいたように思います。
仲沢さんにより、厳選された数種のシェーリーウッド原酒。それぞれの年の特長を生かし、絶妙なバランスで仕上がりました。
シェリー由来の甘く、華やかな香りと豊かな味わいが特長です。
(1)製麦
まず、二条大麦を水に浸け、芽が出たら熱を加え乾燥させます。
その熱を加えるのに使うのが、ピート(※3)です。
このときピートの煙に含まれる独特な香りが、麦に吸収されます。
この香りがウィスキーのスモーキーフレーバーとなるのです。
(2)仕込
こうして乾燥された麦芽を砕き、でん粉を糖分に変えるアミラーゼという酵素が最も活発に働ける、63℃〜64℃のお湯と一緒に仕込み槽に入れてかき混ぜます。
この仕込みに使う水は、最終的なウィスキーの出来映えを左右するといってよいほど重要な役割を果たします。
飲んで美味しいのはもちろん、発酵の際に酵母が活動しやすいミネラルがバランスよく含まれていなくてはなりません。
山崎蒸溜所近くに湧く「離宮の水」は、日本名水100選のひとつとして知られています。こうして麦芽に含まれたでん粉を糖分に変えるのが、仕込みです。
仕込みによってでん粉が糖分へと変り、糖度14%ほどの麦汁が出来上がります。
これを、20℃くらいまで冷まして発酵へと移ります。
(3)発酵
発酵は、仕込みでつくられた麦汁の糖分を酵母によってアルコールと炭酸ガスに分解していく過程です。
この過程ではアルコールと炭酸ガス以外にも様々な香味成分が生まれます。
その香味成分は、華やかな香りを生み出すものや、香味に厚みをもたせ、味になめらかさを与えるものなど、数百種類にも及びます。
発酵はウィスキーの骨格を決める重要なステップなのです。
発酵槽とよばれる木桶のなかで、3日間発酵させるとアルコール度7%のもろみが出来上がります。
(4)蒸溜
蒸溜はアルコール濃度を高め、発酵中に生まれたウィスキーにとって、好ましい香りを持った成分を取り出す工程です。
さらに、蒸溜によって従来の成分が分解し、新たな特徴的な香りをもつ成分が誕生します。
蒸溜は銅製の釜で2回行われます。最初の蒸溜(初溜)ではアルコール度が約20%の、初溜液が取り出されます。
2度目の蒸溜(再溜)でアルコール度約70%のニューポットというモルト原酒が得られます。
再溜で出てくる初めの部分を初溜、真ん中の部分を中溜、後の部分を後溜といいます。
初溜と後溜は再度蒸溜釜にもどされ次回の初留液とともに蒸留されます。
中溜のみがニューポットと呼ばれる、無色透明でアルコール度数約65〜70度のモルト原酒になります。
初溜、中溜、後溜の切替えは、スチルマンと呼ばれる職人が、検度器に流れるウィスキーの色や香りをもとに、見きわめて行います。 この切替えのタイミングでウィスキーの性格が決まるためスチルマンには熟練した技術が必要になるのです。
ニューポットにはアルコールの香りの中に微かに将来ウィスキーの香りとなりそうな、甘い蜂蜜や花を想わせる香りなど様々な香りが感じられます。
仕込み、発酵、蒸溜は5〜6日で終了します。
この後、ニューポットは樽に詰められ、貯蔵庫へと運ばれて、長い熟成の時を過ごすことになるのです。
(5)熟成
無色透明のニューポットを樽(※4)に詰め、半年くらい経つと黄色になり、3〜5年後には琥珀色に変化していきます。
香りも深く複雑になり、味わいもまろやかに変っていくのです。これが熟成です。木の種類によって出来上がりは大きく異なります。
シェリーウッドを熟成させるには、スペイン産のオーク材から作られたシェリー樽を使用します。
ほとんどのものが10年から11年の間は熟成し続けることができます。
これが1度目の熟成のピークと成ります。
1度目のピークの後には、今後も熟成を続けられると見込まれた樽だけが残り、それ以外のものは製品化されていきます。
そして、15年〜17年後に2度目のピークを迎えます。
20年以上経過し、「熟成」といえる状態(味、香り)の品質を保てるのは、ほんの一握りの樽だけなのです。
生チョコレート[山崎シェリーウッド]の誕生秘話を当社商品開発谷口に聞きました。
いままで、ラム酒やブランデーを使用したチョコレートは開発してきましたが、ウィスキーを使ったものはこの生チョコレート[山崎シェリーウッド]が初めてでした。
しかも、使用するのは山崎シェリーウッド原酒の中でも熟成期間が長く、とても稀少で高価なもの。
必然的に商品開発チームの士気も上がり、「満足のいくものをつくる」という思いが強まったのです。
目指すゴールは「シェリーウッド原酒の特長を生かした生チョコレート」。
しかし、一番の難関だったのもこの点でした。
シェリーウッドの特長である、甘く華やかな香りが、チョコレートと組合せると、思うように出ないのです。
ベースのチョコレートをあれこれと変えたり、シェリーウッドの量を少しずつ調整しながら試行錯誤を繰り返しました。
しかし、試行錯誤するなかで「この配合でこの味が出るのか」と新発見することも多く、またこんなに上質なお酒を使えることが嬉しく、日々やりがいを感じながら開発を進めることができました。
そうして、やっと出来上がったのがこの生チョコレート[山崎シェリーウッド]なのです。
私たちの工夫とこだわり、そして情熱が詰まったこのチョコレートをぜひお試しください。
普段なかなか飲むことのできない、上質なシェリーウッドの甘く華やかな香りと、ロイズがこだわり続けてきたチョコレートの味わいのハーモニーをどうぞお楽しみください。
※1 ヴァッティング: 異なった個性を持つモルト・ウィスキーを混ぜ合わせること
※2 丁: 「丁」は樽個数を数える際の単位です。
※3 ピート: 泥炭(デイタン)のことです。ウィスキー独特のスモーキーなフレーバーはこのピートに由来します。ピート香は、採取する土地により、土質や自然堆積された草の根などの植物や、海沿いの地域であれば潮の香りがするなど特徴は様々です。日本製のウィスキーは、このピート香のよる強いスモーキーなフレーバーが日本人には好まれないことから、弱めなのが特徴です。
※4 樽: 組み立てられた樽は、最後に内側を焼いて焦がします。これはチャーと呼ばれる作業です。焦がされることによって、活性炭のように嫌な匂いを吸着してくれるのです。そして、アルコールが木に染込みやすくなり木の色々な成分が溶け出して熟成を進めていきます。樽はただの容器ではなく、熟成を進めるのに不可欠でとても大切な物なのです。